Results and Discussion
メタンクラスレート形成は、6つの独立した並列MDシミュレーション(Run 1-6)を行うことで検討した。 典型的なクラスレート形成過程(Run 5)のスナップショットをFig.1Aに示す。 ここでは、最大のハイドレート結晶子中の水分子の数が増加し始める瞬間を核生成時間と定義した。 図1Bに示すように、6つのシミュレーションの核生成時間は183~550ナノ秒(Run 1: ∼183 ns, Run 2: ∼208 ns, Run 3: ∼456 ns, Run 4: ∼273 ns, Run 5: ∼150 ns, Run 6: ∼550ns)と大きく異なっていることがわかる。 核生成時間の顕著な違いは、水中でのメタンクラスターの溶解速度の違いによるものではないかと考える人もいるかもしれない。 図1Cに示すように、メタンクラスターはほぼ同じ溶解速度を示し、100 ns以内に約120個のメタン分子(モル分率3.3%に相当)が一定になることから、これらの6つの系では同じ濃度のメタンが核生成に至ることを示している。 この挙動は、クラスレート核形成の過程で水の構造が進化するという確率的な事象に起因すると考えられてきたが、核形成時間の差は依然として不可解である