統合失調症患者は意味記憶の障害のほか、言語流暢性、理解、複雑文の作成など幅広い言語関連機能で障害を示している。 統合失調症の精神病症状の背景には言語と記憶の障害がある可能性があるため,本研究では,言語流暢性の指標としてcategory fluency task(CFT)を用い,alogia(発話貧困,発話内容の貧困,ブロッキング,反応潜時の増加)と意味記憶構成との特異的関連性を検討した。 統合失調症患者38名と同数の健常対照者が研究に参加した。 意味構造は、CFTの連続した単語出力を用いた多次元尺度構成法から導かれた。 統合失調症患者は対照群と比較して、意味構造の乱れ(例:カテゴリーメンバーの不規則な関連)を示し、これはこれまでの報告と一致していた。 次に、陰性症状評価尺度(SANS)のアロージャ得点に基づいて、患者をアロージャ群と非アロージャ群の2群に分けた。 症状別分析の結果、アロジア群(アロジア得点<7275>または=2)は非アロジア群(アロジア得点<7275>1)に比べ、生成単語数に差はないが意味構造がより乱れていることが示された。 クラスター分析の結果、アロジア群に特異的に奇妙なコヒーレンスが存在することが明らかとなった。 これらの結果は、統合失調症におけるアロージャの症状には意味記憶の混乱が寄与している可能性を示している。 また、日本人の統合失調症患者の言語流暢性を調べた数少ない研究であり、統合失調症の言語異常が普遍的であることが示唆された。

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